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キカイダー01

 この作品は東映の作品である。他の二つに比べると、知名度は格段に高い。不完全な良心回路を持ち悩むロボットの姿を描き大人気を博した前作「人造人間キカイダー」の続編であり、今度は完全な正義の心で悪と闘う純ヒーロー路線となった。太陽電池をエネルギー源とし、確固たる正義の心を持つキカイダー01(ゼロワン)・イチローが、前作で倒したはずだったハカイダーの率いるハカイダー部隊や、その壊滅後現れた大犯罪組織シャドウと戦いを繰り広げる。
 が、しかし、この作品には、大きな壁があったのだ。(ここからは筆者の予想も含まれる)
それは、資金難である。ちょうどこの頃オイルショックが日本を襲い、特撮番組の製作費は高騰してしまったのだ。東映には当時、キカイダー以上に人気のあるヒーローがいた。それこそが仮面ライダーである。ライダーの方はブーム最高潮。ついにV3登場、という頃で質を落とす事など考えられず、01の方が相対的に製作費が低かったのだ。
と言うわけでこの作品、資金難のおかげで独特の方向へ進んでしまう事になる。



 最初の頃は、まだ変ではなかった。だが最初から、01の乗るダブルマシーンが、前作でキカイダー・ジローが変身前に乗っていたサイドカーの改造だったり、戦闘員は色を塗り替えただけだったりと、金のない事は相当感じられた。敵ロボットもV3の機械化怪人と比べると、なんとも安上がりな感じを受けたのだが、ストーリーはごく普通のヒーロー路線。さすが東映・石森ヒーロー、面白い。イチローを演じた池田駿介もカッコ良く演じている。毎回毎回敵の前に背中を向けてトランペットを吹いて現れるのはすごい構図だが。
 しかしこの後、段々資金難が激しくなってきたようで、敵ロボットの質はさらに悪くなっていく。そして、毎回使い捨てのロボットを作るのも辛くなってきた時、スタッフが考え出したのが、新しいレギュラー人造人間を作り、それとのドラマを中心にして、ロボットを節約する事だった。

 かくして、人造人間ビジンダー・マリは登場した。このビジンダー、敵組織シャドウに作られた。人間体のマリの時は心優しい女性なのだが、ビジンダーにチェンジすると荒々しい性格の悪の戦士になってしまうのだ。しかしイチローによって良心回路を埋め込まれ、ビジンダー状態でも正義の心で戦えるようになり、以後正義の戦士としての道を歩き始める。しかし、シャドウに作られた故か、マリは心優しくてもそんなに人間の心がうまく理解できない。正義を貫いての行動も、その手段が時に子供の心を傷つけてしまう手段であったりして、人々から非難されたりもしばしばで、人の心が解らない事を、そして自分の真意をなかなか理解してもらえない事を、マリは苦悩する。またイチローの埋め込んだ良心回路も不完全であり、時としてビジンダー状態では正義の心が揺れてしまう。自分が人間ならばと、機械である事さえも苦悩した事もあった。しかしそれでも、イチローの助言の下、マリは、人間の心をより理解し、かつてキカイダーがそうであったように、強固な心で不完全な良心回路を制御出来るようになる事を目指して戦っていくのだ。
 うまく敵ロボット数も節約できていたが、ビジンダーも段々と成長し、正義のロボットとして落ち着いてきた。となるとまた話を作るのがきつくなってくる。



 こうして、最後の切り札、人造人間ワルダーが誕生した。このワルダー、どこの誰が作ったのか全く不明という怪しげなロボットである。ワルダーは、殺し屋として、依頼を果たす事のみが使命であり、善悪を認識できる心は持っていない。この意味では彼もまた不完全なのだ。変な話だが実は彼自身もその心の空虚さを苦悩している。
 さあここからが人造人間ワールドの真髄である。ワルダーの悩みを、ビジンダーは自分も不完全な身として、理解する。ビジンダーは、苦悩の中から01のおかげで光を見いだしてきた。そんな体験から、ワルダーに、正義の道を捜し求めていくよう色々とアドバイスをする。二体のロボットは交換日記めいた事をした時もあった。いつしかワルダーはビジンダーに対して淡い恋心を抱くようになる。しかしビジンダーは、明らかに01を想っている。ワルダーにとっての01は、悪の組織シャドウから殺しを依頼された相手。そこに嫉妬心も加わり、一層激しい敵対心を持つのだ。こうして奇妙なロボット三角関係は構成された。

 ビジンダーはこれがまた困った事に鈍感であり、ワルダーの想いに気付かない。彼女にとってワルダーは同感できる友なのだが、決してそれ以上のものではない。ワルダーがいくら自分へ尽くしてくれても(何度もピンチを救った)、それを好意から来ている物とは気付かず、正義を目指す心の表れと捉えてしまうのだ。この辺は見ていてワルダーがかわいそうになってしまう程である。
 まあでもビジンダーはワルダーを友としては見ており、彼が正義へと進む可能性も信じているので、01とワルダーには戦って欲しくないと考え、彼らが戦おうとすると止めようとする。01はその気持ちがわかるので時として戦いを回避しようともするのだが、悲しいかなワルダーは不完全ゆえにビジンダーのそういった皆を思いやる気持ちは理解できず、ただ使命と嫉妬心から01打倒に動いてしまうのだ。



 このように三体のロボットが複雑なドラマを繰り広げている中、しぶとく生き残っていたハカイダーは何をしているかと言うと、これがもう情けない。犯罪組織シャドウの幹部として取り込まれ、人類征服を目指している割にはどうしようもない作戦ばかりやっている。
 偽の郵便局を作り、手紙を悪口だらけの偽手紙とすり替え人々を憎しみ合わせ社会に混乱を起こす作戦や、「これがオレ流の買い占めだ」などと言ってみかん運送車を襲いみかんが流通しないよう仕向け、品不足からパニックを起こさせる作戦など、実効力が疑わしいものばかり。かつてはキカイダー最強のライバルとして圧倒的な存在感を示していたのに、すさまじい転落ぶりである。
 たまに出てくる敵ロボットも、資金がいよいよ限界に来たようで、着物を着て般若の面をつけただけのキモノドクガや、宇宙服を着ただけの宇宙人ロボット、ウエットスーツにフルフェイスヘルメットのアクアラングマンなど、貧相な奴ばかりだった。

 異様な雰囲気に満ちていた01ワールドもいよいよ最後を迎える。第47話でワルダーに訪れる最期、それは非常に悲しいものであった。自分の全てをビジンダーの為に尽くすワルダー。しかしビジンダーの行動は全て01を救うためのものだった。結果として01を救うのに協力してしまったワルダー、複雑な心境の中01に挑み敗れる様は、涙すら誘う。(この話、詳しく書くともっともっとドラマチックな展開なのだが、あえてここでは書かない)
 ロボットの哀しい物語はこれで終わり。続く最終話、「よいこの友達 人造人間万才!」では、前話までの雰囲気は全て消え、久々にキカイダー・ジローとキカイダー兄弟の製作者である光明寺博士を迎え、キカイダー,01,ビジンダーの力と、光明寺博士の機転によって、悪の組織シャドウは意外なほどあっさり全滅する。こうして、人造人間の戦いは終わったのであった。

 こうして終わったキカイダーシリーズ、良心回路とは結局なんだったのか今一つはっきりとせず疑問が残る点もあるが(良心回路を持っていない設定のはずの01があまりにも完璧なヒーローやってたのが最大の原因)、ロボットの様々な苦悩を描いた面白い物である。
 ちなみに、キカイダー兄弟には原作にはあと一体、00(ダブルオー)・零がいた。01の続編として00を作る考えも一応はあったらしいが、このような資金状況では出来るはずもなかったのだった。

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